スターバックスが日本でも事前注文サービス「モバイルオーダー&ペイ」を6月から始めています。会員制プログラム「スターバックス リワード」の会員を対象にしたサービスで、受け取りたい店舗・商品・生乳の種類やホイップクリームの追加などのカスタマイズも選択でき、プリペイド式の「スターバックスカード」で決済します。支払が済むと受取番号とでき上がりまでの時間が表示され、注文後はアプリを閉じていても商品が完成すればスマホに通知が届きます。先ずは都内56店舗から始め、年内には300店舗、2020年末までに全国の店舗に広げる計画だそうです。スターバックスにはこれまで顧客から「待ち時間が長い」「混雑している」などの不満の声が寄せられていましたが、事前注文をしてもらうことで店頭では商品を受け取るだけで済むため、待ち時間に対するストレスを軽減できます。また、事前注文する人が増えれば、店頭で注文する人が少なくなりレジが混雑することも減ってきます。お客が支払まで済ませて来店してくれることで、店側もレジ作業が省略できスタッフの負担も減ります。
モバイルから事前注文できるオーダーシステムを2012年から開発し、企業に提供しているショーケースギグは、既に1200店舗以上にシステムを導入し、その中にはモバイルでのオーダーの比率が20%を超える店舗もあるそうです。モバイルでの事前注文には顧客単価があがるというメリットもあり、実際に顧客単価が27%も高くなった店舗もあったそうです。事前注文システムを導入し運用している担当者は、日本人は後ろに人が並んでいると気を遣って、最低限の商品だけを注文する傾向があるため、アプリを利用しての事前注文なら、じっくりとメニューを見て選ぶことができるので、つい追加注文しがちになると考えておられます。
阪急阪神ホールディングスも人気パン店12店舗の商品をアプリから事前注文して、持ち帰ることができる店舗を10月1日12時に阪急電鉄の大阪梅田駅に開設すると発表しています。
引用:https://www.nikkei.com/article/DGXKZO49445610V00C19A9H56A00/
─ YODOQの見方───────────────────────────
他にもある事前注文サービスをご紹介します。
・「モスのネット注文」
2014年9月から導入されているシステムでスマホやPCのメニューページから商品を注文し店頭受取か配達での受取かを選択でき、受取時間の指定も可能です。当初の支払方法はモスバーガーのプリペイドカード「モスカード」のみでしたが、現在は各種クレジットカード決済にも対応しています。
・ドミノ・ピザ
2015年9月からLINEビジネスコネクトを活用した「ドミノ簡単注文」を開始し、4ヶ月で累計売上が1億円を突破したそうです。GPSを利用し地図画面で配達先の場所を選択すれば、住所入力が不要でピンポイントな配達も可能なサービスを提供しています。
・LINEポケオ
2019年4月18日にメッセージアプリLINEで、簡単に飲食店のテイクアウト可能な商品を来店前に注文することができるサービスとして提供されました。当初は、すかいらーくホールディングスが運営するファミリーレストラン「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」の各店舗約2000店で対応していました。6月以降は牛丼チェーン「松屋」やとんかつチェーン「松のや」「松乃家」「チキン亭」の各店舗でも1100店舗が対応できるようになり、今後は「ぼてじゅう」「大戸屋ごはん処」「ロッテリア」など、2020年までに掲載店舗30,000店を目指しています。支払は店頭決済だけでなくクレジットカードやLINE Payでの事前決済にも対応しています。導入に初期投資は不要で、専用システムの利用料として月額料金が発生します。
10月からの消費税増税にともなう軽減税率の導入で、税率の低いテイクアウト市場がますます盛況になると考えられています。事前注文できるアプリやシステムを導入することで、待ち時間をなくすというユーザビリティの向上に貢献するだけでなく、来店までに決済が終わっていれば企業の手間や労力も軽減できます。飲食店でも人手不足が問題視されている昨今、効率的にスタッフに働いてもらえるのは喜ばしいことだと思います。また、アプリだからこそ手間をかけずにできるポイントの付与やクーポン配信などのマンツーマンマーケティングも可能です。ただ、実際に運用を始めると事前注文どおりに受け取りに来ない客への対応や準備した食品の取扱いについて問題になってくるかもしれません。
参考:https://moduleapps.com/mobile-marketing/20150227_order-app/
参考:https://jp.techcrunch.com/2019/04/18/line-pokeo/